〈精神科〉南辰也 医師

ドクターズ・インタビュー〈精神科〉南辰也 医師

認知症の方とそれを支える方、皆が幸せになれる環境を整えていきたい

認知症ケアは医療者と介護者がお互いを理解することから

認知症の方も入居される高齢者施設で働く介護職の方たちは、やはり限られたリソースで利用者の方のケアをしていく以上、認知症の方のBPSD(周辺症状)を何とかしたいと考えるようです。
確かに、お薬を使うことでBPSDを抑制することはできます。でも安易にそれを行ってしまうと、認知症の方ご本人はとても辛い状態になってしまうのです。ですから私は、認知症の方とその周りの方が、お互いの心身の負担を少しずつ軽減できるような治療を行うとともに、認知症の方一人ひとりに合ったケアの方法を伝えていくという診療方針です。これを続けていると、介護者の方も医療者の見解を尊重してくれるようになります。
認知症ケアは、医療のことが分からない介護者と介護のことが分からない医療者とが、お互いの世界を理解することが必要なのです。

認知症疾患医療センターの使命

昨今の精神科医は、認知症の診断治療だけではなく、地域の人との係わり、さまざまな精神症状による対応困難事例、複雑な家族背景など、いくつかの課題に総合的に対応することが求められています。かかりつけ医だけでは深く介入しにくいケースでも、認知症疾患医療センターはどんどん介入していきます。認知症の方だけではなく、その周りも含めて皆が幸せになれるような環境を整えていく、これが私たちの目指すところです。

「神戸モデル」の発展を支える体制づくり

神戸市では2019年1月に「認知症の人にやさしいまちづくり条例」を制定し、認知症の方が暮らしやすいまちづくりを目指す「神戸モデル」をスタートさせました。しかし前提条件である「認知症と診断される」ことについては、65歳以上の希望者は全員無料で検査を受けることができるのですが、今のところ申請者は思うように増えていないのが現状です。結果的に、「本当に必要な方」が検査を受けるところにすら行き着いておらず、医療にもつながっていないと、私は考えています。
認知症疾患医療センターでは今後、神戸モデルに対する啓発活動を行うとともに、認知症の方やそのご家族が不安を抱くことなく、ちょっとした困りごとを解決するヒントを得る場として、認知症カフェの運営に取り組んで行きたいと考えています。

医師プロフィール

認知症疾患医療センター 副センター長
南 辰也 (Tatsuya Minami)

精神科、認知症疾患医療センター

専門・得意分野 精神科
略歴 平成26年3月 近畿大学医学部 卒業
平成26年4月1日 神戸掖済会病院(初期研修医)
平成28年4月1日 湊川病院 精神科
平成31年4月1日 神戸百年記念病院 精神科採用(認知症疾患医療センター 副センター長)
現在に至る
資格・所属学会
  • 認知症サポート医
  • 日本医師会認定産業医
  • 臨床心理士
その他

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